9月1日は防災の日です。ここ数年、この時期になると備蓄の話が一斉に流れてきて、そのたびに何かを買い足して、気がつくと去年買ったものが押し入れの奥で期限切れになっている。うちもそうでした。
この記事では具体的な商品名を挙げません。挙げる代わりに、買い足す前に決めておく軸を3つ書きます。軸が決まっていない状態でおすすめ品リストを見ると、たいてい買いすぎて、そして使い切れません。
数字をひとつだけ。ある調査では、防災食を備蓄している家庭は6割弱にとどまり、最低3日分をきちんと備えている家庭は1割強という結果が出ています。備えていないのではなく、備えたつもりで足りていない家庭のほうが多い、と読めます。
軸1: 「非常食」を買うのか、「多めの食料」を買うのか
ここがいちばん最初の分岐です。
非常食型は、5年保存のアルファ米や長期保存パンのように、災害のためだけに買うもの。買ったら押し入れに入れて、次に触るのは5年後です。管理は楽ですが、期限を忘れると全損します。
ローリングストック型は、普段食べているレトルトごはん、缶詰、乾麺、野菜ジュースなどを少し多めに置いて、減ったら買い足す方式。政府も推している考え方で、期限切れがほぼ起きません。ただし「食べたら買い足す」を続けられる家庭でないと、ただの食べ切りになります。
選び方の目安
買い物の頻度が高く、家に一定量の食料がある家庭 → ローリングストック型。管理コストがほぼゼロで済みます。
共働きで買い物がまとめ買い中心、在庫が波打つ家庭 → 非常食型を軸に、少量だけローリング。カレンダーに点検日を入れるのが前提です。
どちらが正しいという話ではなく、自分の家がどちらの型かを決めないまま両方を少しずつ買うのがいちばん散らかります。
軸2: 何日分を、誰の分で数えるか
「3日分」という言葉はよく聞きますが、これを人数で掛けている家庭は意外と少ないと思います。
| 項目 | 1人1日あたりの目安 | 4人家族・3日分なら |
|---|---|---|
| 飲料水 | 3リットル | 36リットル(2Lボトル18本) |
| 主食 | 3食 | 36食 |
| カセットボンベ | 1週間あたり約6本 | およそ10本 |
水の36リットルという量を見て、たいていの人がここで一度立ち止まります。2リットルのペットボトルが18本。ケースにして3箱です。置き場所が先に決まっていないと、この量は家に入りません。
だから軸2の本題は日数ではなく置き場所です。玄関の靴箱の上、階段下、寝室のクローゼットの下段。先に場所を決めて、その場所に入る量を上限にする。入らない量を目標にすると、買った後に片付かなくて結局崩れます。
分散して置くのも有効です。1か所にまとめると、その部屋が使えなくなった時点で全部使えなくなります。
軸3: 食料以外に、切らすと詰むものはどれか
備蓄の話は食料に集中しがちですが、実際に困るのは食べ物以外だと思っています。
優先度が高いのは、水を使わずに済ませるためのものと、電気を使わずに済ませるためのものの2系統です。
水を節約する側
簡易トイレ、ウェットティッシュ、食器にかぶせるラップ、ドライシャンプー。断水したときに水の消費を減らせるものは、実質的に水の備蓄と同じ意味を持ちます。
電気を使わない側
カセットコンロとボンベ、電池式のランタン、乾電池、手回しまたは電池式のラジオ、モバイルバッテリー。乾電池はサイズを揃えておくと管理が一気に楽になります。単三で統一して、変換スペーサーで単一・単二に対応させる手もあります。
それから常備薬と、家族の分のコンタクトや眼鏡の予備。これは代わりが効かないので、量より「あるかどうか」で管理します。
買う前に、点検日を決める
備蓄でいちばん失敗するのは、買った瞬間に満足して二度と見ないことです。私もこれをやりました。
9月1日を年に1回の点検日にするのが分かりやすいと思っています。やることは3つだけ。非常食と水の期限を見る、電池の液漏れを見る、家族構成が変わっていないか確かめる。子どもが小さいうちはミルクやおむつが要りますが、数年で不要になり、代わりに食べる量が増えます。備蓄の中身は家族の年齢とともに変わります。
買い足しの順番に迷ったら
予算が限られているときにどこから埋めるか、という話も書いておきます。私が優先度をつけるなら、この順番です。
1番目は水。代わりが効かず、断水すると翌日から詰みます。しかも重くて後から慌てて買いに行きにくい。
2番目は簡易トイレ。ここが抜けている家庭がいちばん多いと見ています。食べるほうは1日我慢できても、こちらは我慢できません。断水時に流すために風呂の残り湯を使う手はありますが、集合住宅では配管の状況によっては流さないほうがよい場合があるので、簡易トイレを持っておくほうが確実です。
3番目にカセットコンロとボンベ。お湯が沸くかどうかで、食べられるものの幅が大きく変わります。ボンベは1本で約60分使えるので、逆算すると必要な本数が出ます。高温になる場所を避けて保管してください。
主食や缶詰は、実は4番目でいいと思っています。ふだんの食料が家に多少はあるからです。ゼロのものから埋めるほうが、少ないものを増やすより効きます。
今日できる一手
買い物より先に、置き場所を1か所決めてください。そこに入る量が、いまのあなたの家の備蓄の上限です。上限が決まってから、軸1と軸2を当てはめると、買うものは自然に絞れます。
この記事は一般的な情報の紹介です。お住まいの地域のハザードマップや自治体の案内もあわせてご確認ください。
この記事のアイキャッチ画像は生成AIで作成しています。


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