この記事は「仮想未来記事」です。現時点の情報をもとに、これから起こりうる未来を書いています。冒頭に私が考える発生確率を明記します。確率そのものは私の主観であり、当たることを保証するものではありません。
私は会社で採用の面接をする側にいます。その立場から言うと、面接という仕事の中身は、外から見えているものとかなり違います。一次面接の大半は、見極めというよりふるい分けの作業です。だからここは、いちばん先に機械に渡される場所だと思っています。
| 私が想定している未来 | 対象年 | 確率 |
|---|---|---|
| 従業員1,000人以上の企業で、新卒の一次面接をAIとの対話に置き換える会社が過半数になる | 2031〜2036年 | 65% |
| 「AIにどう評価されたか」を求職者が開示請求できる仕組みが、法制度として整う | 2031〜2036年 | 50% |
| AI面接の対策が産業化し、その結果としてAI面接の見分ける力が落ちる | 2031〜2036年 | 85% |
一次面接には、そもそも見極める余裕がない
採用の現場を知らない人が意外に思うのは、一次面接に割ける時間の短さです。応募が数百件あれば、一人に使えるのは30分あるかどうか。その30分で、志望動機を聞いて、経歴を確認して、逆質問に答えて、次に進めるかを決めます。
この条件下でやっていることは、正直に言えば見極めではありません。明らかに合わない人を外す作業です。深く見るのは二次以降で、一次は数を絞るための工程になっている。工程として定型的だからこそ、機械に渡しやすい。
録画を提出してもらう形式は、すでに珍しくなくなりました。あれは「人が見る前提の非同期化」ですが、その先に「人が見ない」段階があるのは自然な流れだと思っています。
予測1: 大企業から順に置き換わる(65%)
65%という数字を置いたのは、置き換えの動機がはっきりしているからです。応募が多い会社ほど一次面接の工数が重く、そこが減れば効果が大きい。逆に応募が10人しか来ない中小企業には、導入する理由がありません。だから大企業からしか進まないし、大企業では確実に進む。
100%にしなかったのは、企業イメージの問題が残るからです。「うちは一次からAIです」と言い切ることに抵抗のある会社は一定数残ると思っています。特にBtoCで、応募者がそのまま顧客になりうる業種は慎重になるはずです。
予測2: 開示を求める流れは来るが、法制化は読みにくい(50%)
ここを半々にしたのは、方向は見えているのに速度がまったく読めないからです。
採用でAIを使うことは、人の人生の分岐に機械が関わるということです。海外では採用領域のAIをリスクの高い用途として扱う議論が先行していて、説明できることを求める方向に動いています。日本もいずれ同じ論点に行き着くとは思っています。
ただ、日本の法改正は遅い。労働分野の制度が動くには、たいてい問題が表面化してからさらに数年かかります。2031年から2036年という枠に収まるかどうかは、正直コインの裏表くらいだと見ています。だから50%です。
制度より先に、企業が自主的に「AIは補助であって最終判断は人間がする」と明示する動きのほうが早く来ると思います。そのほうが安上がりだからです。
予測3: 対策が広まって、識別力が落ちる(85%)
3つのうち、私がいちばん自信を持っているのがこれです。
採用試験には歴史があります。適性検査が広まれば対策本が出て、エントリーシートが重視されれば添削サービスが生まれました。評価の物差しが公開された瞬間から、その物差しに合わせる産業が立ち上がる。これは何度も繰り返されてきた形で、AI面接だけが例外になる理由が見当たりません。
むしろAI面接は、対策との相性が悪い方向に相性がいい。人間の面接官は日によって聞き方が変わりますが、機械は基準が安定しています。安定しているということは、傾向をつかまれるということでもあります。
そして受ける側にもAIがいる。想定質問への回答を作り、話し方を練習し、本番で詰まらないところまで持っていける。AIが評価してAIが対策する状態になると、差がつくのは能力ではなく、対策にどれだけ時間を使えたかになります。これが起きる確率を85%と見ています。
そうなると企業は、AI面接の結果を「足切り」以上の意味では使わなくなるはずです。皮肉な話ですが、置き換えが進むほど、その工程の価値は下がっていくと思っています。
面接で本当に見ているもの
採用の側に立って感じているのは、面接で効いているのは答えの中身ではないということです。
用意してきた答えは、たいてい全員似ています。差が出るのは、用意していなかったことを聞かれたときに、その場でどう組み立てるか。黙って考えるのか、分からないと言うのか、確かめ返してくるのか。答えではなく、答えを作る過程を見ています。
この部分を機械が読めるようになるかどうかは、私には分かりません。技術的にはいずれ可能になるのだと思います。ただ、読めるようになった時点で、その基準もまた対策されます。ここは終わらないいたちごっこだと見ています。
今日できる一手
就職や転職を控えている人なら、想定問答を増やすより、用意していない質問に出会ったときの自分の癖を知っておくほうが効くと思っています。詰まるのか、埋めようとして喋りすぎるのか。誰かに変な質問をしてもらって、一度録画してみてください。
答え合わせは2031年からです。私はこの記事を消さずに置いておきます。
この記事は未来の予測であり、制度の解説ではありません。実際の採用選考や労働条件については、応募先の案内と、必要に応じて専門家にご確認ください。
この記事のアイキャッチ画像は生成AIで作成しています。


コメント