この記事は「仮想未来記事」です。現時点の情報をもとに、これから起こりうる未来を書いています。冒頭に私が考える発生確率を明記します。確率そのものは私の主観であり、当たることを保証するものではありません。
私は昔、航空自衛隊でレーダーを見る仕事をしていました。警戒管制員という職種で、画面に出る反応を追いかけて、それが何なのかを判断する係です。だから人が減るという話を聞くと、装備の話より先に、あの部屋に何人座っていたかを思い出します。
この記事は、防衛政策の是非の話ではありません。人が集まらない組織がこの先どうなるかという、労務の話として書きます。
| 私が想定している未来 | 対象年 | 確率 |
|---|---|---|
| 自衛官の実員が20万人を割り込む | 2031〜2036年 | 70% |
| 警戒監視の相当部分が常時無人化され、人は異常時だけ見る体制に変わる | 2031〜2036年 | 75% |
| 無人化を進めても人手不足は解消せず、不足する職種が入れ替わるだけになる | 2031〜2036年 | 80% |
すでに、埋まっていない
まず現状の確認から。定員はおよそ24万人ですが、実員はそこに1割以上足りていません。そして採用実績は、計画に対して5割から6割台という水準が続いています。
これは「今年たまたま集まらなかった」という数字ではありません。募集を強化したうえでこの結果だという点が重い。広報を厚くしても、給与を上げても、母集団そのものが縮んでいるので届く上限が決まってしまう。
予測1: 20万人を割る(70%)
70%と置いたのは、算数がかなり単純だからです。
毎年一定数が定年や任期満了で抜けていきます。そこに計画の6割しか入ってこない状態が続けば、実員は毎年削られます。募集の対象になる年齢の人口は、これから増える見込みがありません。入口が細くて出口が変わらないなら、水位は下がる。それだけの話です。
100%にしなかったのは、定員そのものを見直す議論があるからです。24万人という枠を下げて、実員に合わせにいく可能性はある。その場合「割り込んだ」という表現にならないまま、実質的に同じことが起きます。数字の見え方だけが変わる形です。
予測2: 見張る仕事から、人が先に抜ける(75%)
省人化がどこから進むかというと、まちがいなく監視からだと思っています。
理由は単純で、監視はいちばん定型的だからです。私がやっていた仕事も、大部分は「変わったことが起きていないことを確認し続ける」ことでした。何も起きない時間が圧倒的に長い。そういう仕事は機械に向いています。
無人機を大量に入れて沿岸を多層的に見る、という方向は、すでに計画として動き始めています。センサーが増えれば、人が画面の前に張り付いている必要は薄れていく。人は異常が出たときだけ呼ばれる係になります。
ただ、ここには失うものもあります。ずっと画面を見ている人間は、しきい値に達していない違和感を拾うことがある。数字にならない「なんとなくおかしい」です。異常が出てから呼ばれる体制では、その手前が抜け落ちます。効率と引き換えに、兆候を拾う力が少し落ちる。これは現場にいた人間としての実感です。
予測3: 無人化しても、人は足りない(80%)
3つのうち、いちばん自信があるのがこれです。
無人機は人手を減らしません。減らす場所と増やす場所を入れ替えるだけです。機体を飛ばす人、整備する人、通信を維持する人、集まってきたデータを見て判断する人。むしろ増えるほうの職種は、専門性が高い。
そして、その専門性の高い人材こそ、いま民間が奪い合っている層です。通信、システム、データ解析。ここは給与も待遇も民間のほうが動きが速い。集めやすい職種を機械に置き換えて、集めにくい職種を増やすことになる。差し引きで採用は難しくなります。
だから「無人化すれば人手不足が解決する」という話にはならないと見ています。総数は減っても、埋まらない席の種類が変わるだけ。この構造が起きる確率を80%と置きました。
人事労務の側から見ると
いまは建設業の総務で採用をやっています。立場は違いますが、起きていることはよく似ています。
人が採れない組織が最初にやるのは、たいてい募集の強化です。求人票を書き直し、媒体を増やし、条件を少し上げる。それで一時的に応募は増えます。ただ、母集団が縮んでいる業界では、それは他社から引っ張ってきているだけで、業界全体では何も増えていない。
次に来るのが省人化です。ここも同じで、置き換えられる仕事から先になくなり、置き換えられない仕事だけが残る。残った仕事の担い手は、だいたい採用が難しい層です。
この順番は、業種が違ってもあまり変わらないと思っています。自衛隊で起きることは、たぶん建設現場でも起きるし、その逆もある。
今日できる一手
採用に関わっている人なら、自分の会社で「置き換えられる仕事」と「置き換えられない仕事」を紙に分けてみてください。後者に何人必要かが、その会社がこの先ずっと採り続けなければならない人数です。募集の話は、その数字が出てからで間に合います。
答え合わせは2031年からです。私はこの記事を消さずに置いておきます。
この記事は未来の予測であり、防衛政策の評価や提言ではありません。制度や組織の現状については、公表されている一次資料をご確認ください。
この記事のアイキャッチ画像は生成AIで作成しています。


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